感動と免疫力

ようやく秋らしくなってきました。ここ数年は新型コロナウイルス感染(コロナ)のパンデミックに見まわれ、スカッとせず、不安を感じる場面が多かったように思います。
そこで質問です。
今年、何回、感動されたでしょう?
最後に心が震えるほど感激されたのはいつでしょう?

今回は、感動が免疫力の改善につながるということを分かち合わせていただきたいと思います。

ポジティブな感情が健康増進に寄与していることは、これまで多くの研究で報告されています。 2015年、ポジティブな感情と免疫力の関係についての研究がカリフォルニア大学バークレー校から発表されました。
その研究で、畏敬の念、満足感、楽しさ、賞賛といったポジティブな感情を体験している人は、歯茎の浸出液に含まれるIL-6値(炎症反応を促進させる働きをもつ炎症性サイトカインの1つ)が、それらの感情を感じていない人たちより低く、さらには、ポジティブな感情を頻回に感じている人はより低いことが明らかにされました。
つまり、ポジティブな感情は抗炎症作用の促進につながることが示されたのです。また、ポジティブな感情のなかでも、「畏敬の念」が最も影響を与えていたこともわかりました。
一方、精神的なストレスが炎症性サイトカインを上昇させることも、その他の研究で明らかにされています。

炎症性サイトカインは糖尿病、心臓疾患、関節炎、アルツハイマー病などの慢性疾患の発症や進展に関わっているだけでなく、うつ病をはじめとする精神疾患においても上昇していることが報告されています。
またコロナでは「サイトカインストーム」と呼ばれる免疫システムの暴走が問題となりました。サイトカインストームによる炎症が全身に起き、様々な障害が引き起こされるのです。
このように、炎症は様々な病気の要因となっています。ですから、私たち自身が持っている抗炎症作用を整えることが、心身の健康増進のみならず、コロナの予防にも役立つと期待できるのです。

感動とは、深い感銘を受けて強く心を動かされることです。素晴らしい芸術や美しい自然を感じる時、新たな発見や学びや気づきがあった時、何かを達成したり成長を感じる時、人や動植物とのつながりや愛を感じる時、深い感謝を感じる時、崇高な存在に畏敬の念がわき上がる時。 このような瞬間のポジティブな感情がより高まると感動に発展していきます。季節の花や身の回りの自然の変化、人とのちょっとした心の交流、読書や映像、新しい発見、運動や入浴等で体がほぐれた時の気持ちよさ、できなかったことができるようになった時の嬉しさ、おいしいものを見つけた時の喜びなど、感動の種は身の回りにたくさんあります。それらを味わい、感動の回数を大いに増やして、免疫力をととのえてまいりましょう。